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髭男は一瞬の出来事に尻餅をつく。
髭男の目の前に立つローブの男は剣を鞘に収め、髭男を見下ろしていた。
「……アンタ、一体――」
言葉の途中で、日が昇り、薄暗かった森の中が明るくなり始める。
日の光が広がるにつれて、ローブの男の姿が徐々に露になっていく。
光を浴びて輝く純白のローブ。
髭男を見下ろす先を見通すかのような鋭い碧眼。
そしてなにより、一瞬見ただけでは白髪と思ってしまうであろう珍しい銀髪。
髭男は未だに座り込んだまま後ずさる。
「アンタ、『奇才』か? カイル・フォードか?」
降り注ぐ光の中、カイルと呼ばれた男は何も言わず、笑ってみせた。
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