音のちから

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「――声…?」 「…と言うより…‘歌’かな」 「歌…」 チョコはきょとん、とした子どもらしい雰囲気に戻った。その事に少なからず安堵したクリスは、微笑すると話し出した。 「そう。私は歌をうたう事で、誰かを元気にさせたり、逆に攻撃したり出来るの。いろんな意味を持つ歌があって、それをうたう事によってね。」 「そ、そうなんだぁ…。すごいねぇ、クリスちゃん」 チョコは純粋に驚く。 「あっ、ところでなんだけど…。さっきの化物、一体なんだったんだろう…。チョコ何か知ってる?」 クリスは先ほどの奇妙な化物のことを思い出した。チョコは 「…それなんだけどねぇ、多分…順を追って説明するとなんだけど、最近、おかしな事が多いでしょ?…ほら、変な自然現象とか生き物が暴れだしたりとか…。それって、絶対誰かの仕業だ、って博士も言ってたし、僕もそう思うんだぁ。それでね、今までの旅でわかったんだ、その‘誰か’が。」 そう答える。 「…えっ!それって誰?」 クリスが興奮気味に聞く。 「うん、名前って言うより、被害にあった人達がこう呼んでるだけなんだけどねぇ。それが‘リバティ’って名前な訳なの」 リバティ。liberty。――気まま、勝手、無礼な行動の意。 「…リバティ、か」 クリスはため息をつく。 「そいつがどんなとんでもない事を今までやってきたのか、なんとなくわかるわ…」 そして、苦笑いを浮かべたのだった。
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