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“ハヤタウン”。
活気のあるこの町に訪れた少女は、町一番の食品店へと足早に向かった。
「いらっしゃい!」
「えっと…ここで一番長持ちする食品ってなんですか?」
「そうだねぇ…やっぱりこれかな!」
そう言って店長が出したのは、フランスパン。
「フランスパン…じゃあ、これを3つと苺ジャムと…あとペットボトルの水を1つください」
「はいよ!…ところであんた、もしかして旅の人かい?見馴れない服だけど…」
袋詰めをしながら、店長が聞いてきた。
「えぇ。ユリバという村から来ました」
「ユリバ?聞いたことのない村だねぇ、」
「小さな村ですから」
そう言って少女は微笑んだ。
袋詰めを終え少女に渡すと、店長は
「それにしても珍しいね。確かにこのハヤの町は旅人さんが良く来るけど、今日はお前さんで3人目だよ」
と言った。
「私の他に2人も?今日だけで…」
少女は驚いた様子で呟いた。しかしその後、何かを思い出したかのように早口で
「あっ、いけない!あんまり長居すると旅の目的を忘れちゃう!
おばさん!あ、店長さんかな?ありがとう、さよなら!」
そう捲し立てると、代金を置いて店から出て行った。
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