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いつからシンをスキだったのかなんて、あたしにはわからない。
気がついたら好きだった。それだけ。
好きなままでずっと来た。
でも、近いのに遠い。
こんなに近くにいるのに、まだ告白もできないテイタラクだ。
ああどうして、こんな人好きになっちゃったのかな。
いつもイバってて、あたしのことバカにしてて、全然優しくない。
こんな人を、どうして。
あたしは、シンを見上げた。
シンは幼稚園の頃からいつも背の順で一番後ろだった。
背が高くて、がっちりした体格で。
いつもクールで落ち着いてて。
イジメることもイジメられることもなく、いつも言葉少なく。
成績が抜群にいいから、先生のおぼえもよろしく。
かなーり傲慢な性格も世間にあまり知られることなく。
口にすることと言えば「おまえバカじゃねーの」「最近太った?」「なんか食うもんない?(と、あたしのお弁当を盗ってゆく)」
あ、なんか悔しくなってきた…
「おまえ、鷹野さんちに入ったことある?」
シンがベランダに座って、向かいのお屋敷の方に目をやりながら、言った。
「お屋敷の中にだったら、ないよ。
敷地内にはちょっとだけ入ったよね?シンもいたでしょ」
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