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それはいつのことだったか。
多分10年くらい前。小学校の頃。
鷹野さんちの裏側にある公園で近所の子たちと遊んでた。
シンも一緒だった。
多分ソフトボールをしていたんだけど、ボールが壁を越えてお屋敷に入ってしまった。
いたずら坊主の優太くんが「俺、取って来る!」って…。
慎重派のシンは、止めてた。
「勝手に入るのはやめた方がいいよ。電話してちゃんと謝って…」とか言って。
でも優太くんは聞かずに、壁をよじ登って。
そして、壁を登ったはいいけど、向こう側…鷹野さんちの敷地内に落っこちてしまった。
短い悲鳴の後、「イタタタ…」という優太くんの声が聞こえた。
シンがやれやれ、という顔で鷹野さんちの玄関まで走っていって、呼び鈴を押した。
不機嫌そうな顔のおばさんが出てきたけど、今思えばあれはお手伝いさんだったと思う。
その時、あたしたちはちょっとだけ敷地内に入れてもらったんだ。
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