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シンのママは忙しい人だ。翻訳の仕事をしてて、いつも締め切りに追われている。
”この業界、需要と供給がズレてんのよ、ブンガクを翻訳したい人なら沢山いるけど、私みたいに科学系が専門だと、仕事やってもやっても追いつかない。
あんまり儲かる仕事は来ないんだけどね~…”
とかなんとか、先日も玄関前で超濃いコーヒーのマグカップを片手に愚痴っていた。
コーヒーを飲みながらシンを見送って、ちょうどあたしがいるのを見てそのまま出てきたの。
”完徹したのよ~。でも昼くらいには終わりそうだから、その後爆睡するわ~”
「シンのお嫁さんというより、お手伝いさんが欲しいってことなんじゃない?」
「いや、そうじゃないと思うけど。家政婦さんなら、単発で時々雇ってるみたいだし」
ママは口元のニヤニヤをそのままに、目を細めた。
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