しのび寄る不安はそのままに

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「やっぱそうなの?!隠してるんじゃなくて、いつもそうなの? シンちゃんって、不思議よねえ。 ふーん、あんたともホントに何にもないのねぇ…」 改めて言われると、グサッとくる。 大体、何もナイことを親にからかわれる女子高生って、ナニモノ?? ふつー親っていうのは、娘に悪いムシがつかないように、ドキドキハラハラしてるもんなんじゃないの? 「ママ的には、あたしがシンにモテアソバレればいいと思ってるわけね。 どうせシンなんて、高校卒業したら東京あたりに行っちゃうわよ。 シンはきっといい大学行って、ドラマに出てくるような外資系エリートとか、キャリア官僚とか…なんか手の届かない人になっちゃうのよ。 で、美人のお嬢様と結婚するんだよ、多分」 「ふふ」 ママがまたニヤニヤしてる。 「いやーね、あたしの子なのに。もっと大志を抱きなさいよ。 あんたも、髪型変えて化粧でもすれば、けっこうイケテルわよ」 なんかムカついてきた。 大人は無責任なこと言い過ぎ。 大志って何よ。現実は現実よ。 好きな人に相手にされず、成績は必死で頑張っても中の上をキープするのがやっと。 模試じゃFランク大学さえ怪しいのがあたしの実力よ。 もっと現実を思い知れって、大人が言うべきなんだっ! 無責任に子供を煽るなっ! あたしが選挙に出たら、スローガンはこれだっ!↓ 「格差のない社会を。夢のない世の中で、凡人にも最低限の食べ物と温かいお布団を」←もちろん、選挙なんか出ませんケド 好きな人に、全然相手にされない気持ちなんて… …全然わかってないんだよ。 あたしがソファーの背もたれに顔を埋めて呻いてると、ママが隣に座って優しく頭をなでた。 あたしは、何か言い返したかったけど… その手の温かみがなんだか嬉しくて、しばらくそうしていた。
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