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なーんてあたしは、2階の窓からじっとお向かいを見ていた。
あたしの部屋には、部屋から上がれる1段高い小さなベランダがついてる。
でも道の向こう側の物々しい雰囲気の中、とてもベランダに出る気にはなれなかった。
あたしは部屋に座り込んで、ベランダに頬杖をつくような形で花輪の連なりを見ていた。
「まーた、口ぽかーんと開けてバカ面して」
顔を上げると、右隣の家のベランダから乗り出すように、晋(シン)があたしを覗き込んでいる。
「…!!」
あたしはレースのカーテンをシャッと閉めた。
どう考えても、設計ミス。
お隣さんと、ベランダ同士が近すぎる。
あたしの、ぼけーっとした顔、見られちゃった?やっぱり?
…。
でもどうせ、今更よね。
いつもあたしがバカやってるとこ、見られてるし…
思わず、ちょっと髪なんか整えて、頬が赤くなってないか鏡をチラッと見てからもう一度カーテンを開けた。
「シン、いつからいたの?」
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