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『ママ…私を打つのを止めて。痛いよ。』
少女の悲痛な叫びは涙となり頬をつたう。
その涙は美しくはかないものだった…
「ジュエル!」
「お静かに…彼女はたった今悪魔から解放されて気持ち良く眠ったばかりですよ。」
「悪魔ですって?私は毎週日曜日にジュエルを連れて教会に来てお祈りしてたのに…効力がなかったというの?」
ジュエルと呼ばれる少女の母親は愕然としてその場に座りこんでしまった。
「お母さん、貴方はジュエルちゃんに虐待をしていましたね?」
「!!何を言ってるの?私がジュエルに虐待なんてするわけないでしょう!言い掛かりはよしてよ!!」
母親はレイアに見抜かれ酷く荒れていた。
「ジュエルちゃんの心の悲痛な叫びが闇を招いたのですよ?痛いよ、苦しいよ、助けて!と誰かに救いを求めていました。」
「…だから私のせいだとでも言うの?」
「お母さん、ジュエルちゃんのこんな優しい寝顔を見て何とも思わないのですか?」
「…ジュエルが悪いのよ?私を哀れな目で見るから。父親が他の女を選んでジュエルと私を残して出ていったの。ジュエルは、父親が出ていったのは私のせいだと思ってるでしょうけどね?」
「ジュエルちゃんは、貴方の勝手な思い込みで虐待を受けていたのですか?」
「思い込み?ジュエルは何も言わなかったけど私を哀れむから…腹が立って毎日虐待を…!!」
虐待の事実をうっかり認めてしまった母親は気まずくなった。
「認めましたね?お母さん、念のため貴方の体にも悪魔がいないか調べますがよろしいですか?」
「…悪魔が私にジュエルを虐待するように命令しているのよ!」
「今度は悪魔のせい?ジュエルちゃんも可哀想ね。」
「シスターレイア…お静かに。」
レイアは、ジュエルを隣の部屋に運びラウルと母親はその場に残った。
悪魔がいないか調べる為に…
スーッ
『…悪魔の存在は感じませんよ。彼女自身が悪魔になりかけてるのかもしれませんがね💧闇の心を持った者はその闇を排除しなければ元には戻れません。』
「…神に祈っても効果が無いのはその為でしたか。フゥーッ…💨完治に時間はかかりますがやってみますか?」
『ラウル、先に言っておきますがジュエルと言う少女を母親と一緒にしない方がいいですよ。』
「…でしょうね。ジュエルちゃんは教会でお預かりしますよ。シスターレイアが面倒を見てくれるでしょう。」
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