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ジュエルは、レイアの腕の中で気持ち良さそうに眠っている。
「…ジュエルちゃんを見ると過去に出会った少女を思いだします。あの時の少女も同じ状況でしたから。」
ラウルは、過去を語る。少女の両親を奪った事を悔やんでいた…。
二度とこんな事をおこしてはいけないと心に誓った。
「その少女は、貴方に救われたの?」
「…私はどうする事も出来ませんでした。」
ラウルは、レイアに嘘をついた。自分の正体がばれては困るからだ。
「そうね。下手な同情は返って憎しみを生み出すだけよ。正しい判断をしたと思うわ。」
「シスターレイア、貴方の過去にも同じ事があったのですか?」
「ええ…あったわ。私が幼い頃に大物悪魔に両親を殺されたの。父は教会で悪魔払いをしてた。母親はシスターで…私はその悪魔の事を今でも覚えているわ。だから、探して地獄の炎に焼いてもらうの。」
「…シスターレイア、お気持ちは分かりますがそんな事をしてもご両親は喜びませんよ?」
「…ジュエルちゃんと私は同じなの。だから、悪魔を許せない!」
「そうですか。神は貴方をどう思われるでしょうね?」
「シスターを辞める覚悟は出来ているわ!悪魔を必要以外に払うのは許されないでしょうけど…私は悔しいのよ。」
レイアは、自分の両親を奪った悪魔を憎んだ。悪魔を許可無く払う事はけして許されない事だが、それが自分の背負った宿命ならどんなことをしてもせずにはいられなかったのだ。
『ジュエルちゃんとシスターレイアは似ていますね?同じ物を背負ったというべきでしょうか?』
「シスターレイア、私に見覚えはありますか?」
「何よ、急に?」
「いえっ、先程言っていた少女が貴方なら私の事を覚えているのではないかと思いましてね?」
「残念ながら私があの時出会ったのは大物悪魔だけよ?周りに人なんていなかったわ。」
「そうですよね💧そんな偶然なんてあるわけないです。」
しかし、レイアに聞いた事によりラウルは損は無かった。レイアの両親を殺した大物悪魔とは自分だったからだ。
皮肉にもレイアとラウルは出会ってしまったのだ。最悪の形で…
レイアがラウルの正体に気付くのも時間の問題だ。
「私が今会いたいのは両親を殺した大物悪魔だけよ😏」
「…ジュエルちゃんの母親を殺した悪魔、調べる必要があります。」
「探してどうするの?神の裁きを受けさせるつもり?」
「人を理由無く殺した代償は払って頂きます」
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