誰かのわたげ

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誰かのわたげ

みんながかえってく 声が聞こえる 泣きたくなるほどの安心感 見下ろせば人 声が聞こえる 狂いそうなほどの優越感 人がいなくなる 声は聞こえない 壊れそうな空虚感 ぼくはベランダから見下ろす 白いわたげが飛んでいる 遠く遠く飛んでいる 深く深く溶け込んでく 青でできた囲いに溶け込んでく ぼくも帰りたい きっとあの空は 愛を知らないんだ ぼくみたいにかなしいんだ だからぼくを ぼくも溶けたい 青になりたい 君にかえりたい
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