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静寂かつ、広大な宇宙。その中を1機のシャトルが航行していた。
アテナを出発したヘリオ航宙303便である。
この日、303便には修学旅行中の学生たちが大勢乗っていた。
行き先は地球軌道上のリゾート・コロニー。そこは地球を一望できる観光地だが、重要な貿易拠点でもあり、その見学も修学旅行の予定に入っていた。
「・・・・・・。」
シャトル中程の席で雑誌を読む一人の学生、青葉総司。
皆が周りで喋る中、彼はただ一人、シートに備え付けられていた雑誌を読んでいた。
別に友達がいないわけではない。クラスメイトとはそれなりに打ち解けてるし、悪友と呼べる友人もいる。ただ偶然、シャトルの席の割り当てが彼と友人達を離してしまったのだ。
周りは顔も知らない違うクラスの生徒ばかり。近くにはクラスメイトもいるが、そう気軽に話しかけるほどの仲ではない。仕方なく、こうして暇を潰しているのだ。
「あーおーばーくんっ。」
「おわぁっ!?」
突如、自分の視界に女の子の顔が割って入る。
「驚きすぎ。あんまりだと思うなー。」
女の子は不機嫌そうな顔で総司を睨む。
彼女の名は天城栞。総司のクラスの委員長だ。シャトルの座席は、総司の隣になっている。
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