何がどうしてこうなった。

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色々なショックを受けてへこんでいると、玄さんはそんなオレを一瞥してから物珍しそうに鞄を眺め始めた。 「んで、これはアンタのかい? こんな珍しいもん、もし持ち主が違ったら大変だ」 「あー…と、うん、野々村旭はオレ。ちゃんとオレのです、それ」 「そうかい、そりゃァ良かった。持ち主を捜し直さなくて済む。ほれ、大事にしな」 爽やかな笑顔で玄さんに手招きされてそちらへ行けば、それまで珍しそうに眺めていた鞄を渡される。 なんとなく鞄の中を確認してみると、登校前だったのだから当たり前なのだが、中は教科書やら筆記用具やらと勉強道具ばかり。 それと携帯も入ってた。が、電波表示は圏外。やっぱり繋がらないか…。 「はぁ…玄さん、もう一つ聞いても?」 「勿論構わないさ。俺に答えられることならなんでも」 「じゃあお言葉に甘えて…オレ、なんで玄さんの家に居んの?」 ずっと気になってはいたんだ。 またたび玄さんなんていう人は、じいちゃんに散々聞かされたご先祖様の話の中にも出てきたことがない。 だから先祖の所に来ちゃった!…なんて、そんなんじゃないとは思うんだが…。 オレの質問を聞いていた玄さんは少し考えるような素振りをしながら、さっき背中から下ろした荷物を解いている。 「仕事中に降ってきたのさ。目の前にどさっと」 …は? 降ってきたって…。 確かに階段からは落ちたけど…それが問題、か? 理解することを放棄しようとしている自分の頭を叱咤して考え込むオレとは反対に、玄さんは鼻歌混じりに鮮やかな皮が張ってある三味線を解いた荷物から取り出した。 「その着物も変わってるし、このままじゃきっとお奉行さんとこに突き出されっちまうと思ったら、つい拾ってきちまった」 「ついって、猫か何かみたいに…」 「あっはっは! 猫も人間も変わりゃしねェさ!」 三味線を調律しながら、オレの言葉を豪快に笑い飛ばす玄さん。 そんなものなのかと腑に落ちないまま悶々していれば、外からにゃあと猫の鳴き声が聞こえた。
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