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「女じゃ…ねぇんだ…
奏瀬 維斗、ミヤミも知ってんだろ?あいつだよ。」
一瞬、間が凍った。
ミヤミは目を見開き、角砂糖を落とした。
言わなければよかった。
そう思った。
「すみません。落としてしまいました。」
ミヤミはそれだけ言うと
また笑顔を取り戻した。
それがなんだか勘に触った。
「それだけかよ?どうせキモいとか思ったんだろ…?なんとか言えよっ」
オレは癇癪を起こした。
完璧な逆ギレだ。
ミヤミは何も言わず微笑んだ。
そのまま10分が過ぎ、
そしてミヤミが口を開いた。
「気持ち悪いなんて思っていませんよ。
愛の形は人それぞれですからねぇ。」
ミヤミはそう言うと角砂糖を一つ頬張った。
そして、
もうすぐ授業が始まりますよ
と笑った。
「……また後で来る。」
オレはそう呟き、保健室を後にした。
「まさかあの子もそうだったなんて…
実に不愉快だ…」
ミヤミがそう呟いた言葉はオレの耳には届かず、
オレは必死に走っていた。
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