先生とオレ

3/10
36人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「女じゃ…ねぇんだ… 奏瀬 維斗、ミヤミも知ってんだろ?あいつだよ。」 一瞬、間が凍った。 ミヤミは目を見開き、角砂糖を落とした。 言わなければよかった。 そう思った。 「すみません。落としてしまいました。」 ミヤミはそれだけ言うと また笑顔を取り戻した。 それがなんだか勘に触った。 「それだけかよ?どうせキモいとか思ったんだろ…?なんとか言えよっ」 オレは癇癪を起こした。 完璧な逆ギレだ。 ミヤミは何も言わず微笑んだ。 そのまま10分が過ぎ、 そしてミヤミが口を開いた。 「気持ち悪いなんて思っていませんよ。 愛の形は人それぞれですからねぇ。」 ミヤミはそう言うと角砂糖を一つ頬張った。 そして、 もうすぐ授業が始まりますよ と笑った。 「……また後で来る。」 オレはそう呟き、保健室を後にした。 「まさかあの子もそうだったなんて… 実に不愉快だ…」 ミヤミがそう呟いた言葉はオレの耳には届かず、 オレは必死に走っていた。 .
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!