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『ちょっと-、むちゃむちゃ視力のいい私だってこんな夜中じゃあ流石によく見えないよ-』
パキッガサササッ
『やべっみつかる...!!』
「なんだぁ、茉奈かぁ」
音のした方を見ると凄い顔で走って来た茉奈だった。
まぁ、凄い顔なのは当然だ。
この子は頭の回転も早いしきっと今自分達がどんな凄い状況下に置かれているか、わかってしまったのだろう。
「よかった...玲奈姉。生きてたんだぁ」
泣きそうな顔で笑ってくる妹に私も笑顔で返してあげる
「あったりまえ。かくれおになら誰にも見つかったことないんだから」
ぷっと笑うと茉奈は安心したように引きつった顔が少しだけなおってきた。
「玲奈姉は私より鈍いし年くってるから捕まっちゃったんじゃないかって思ってた」
「なによぉ、確かに茉奈よりは鈍いけど...普通の人に比べたら充分速いよ。それに2つしか変わらないのに年くってるって酷くない?」
「あはは、そうだねぇ。」
緊張のいとがきれたのか、力なく座り込みながら茉奈は言葉を続けた。
「でも...」
茉奈が言おうとしないから聞いてみる。
「でも?」
急にきっと目をキツくして茉奈は今にも消えそうな声で言った。
「あの人達は普通じゃない。」
「そりゃそうだよ。銃持ってるんだよ?銃。こんな時代にあんなもの...」
「違うの!!」
泣きそうに顔を歪めながら茉奈は言葉を絞り出す。
「違うの...あの人達は...マフィアとかいう人達で...お父さん達の敵だ...」
「え...」
私は突然の妹の推測にビックリした。マフィアだなんて、それこそ私がいつも読んでいる本の中にしかない、現実には有り得ない存在だと思ってたからだ。
当然だと思う。
「嘘だぁ...」
「嘘じゃあ...ないよ...」
しかも茉奈は“お父さん達の敵”と言った。
つまり、パパもそのマフィアということになる。
信じられない。こんな身近にそんな凄い存在がいたなんて...
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