130人が本棚に入れています
本棚に追加
きっと話をしていたのはそれなりに前。確かに一時期パパもママもピリピリしている時期があった。
多分その時期だ。
あれからもう1年はたっている。敵マフィアとかいう奴等がなかなか来なかったからパパもママもその事を忘れていたに違いない。
だとすれば完璧に油断した隙を付かれたのだ。だからパパもママもあんなにビックリしていたに違いない。
「ねぇ、茉奈。多分ねそのパパが言ってた支部本部っていうのはパパが仕事場って言ってた所だと思うの。」
まだ泣いていたけど、茉奈は顔をあげてくれた。
「でも...道...覚えてない。」
にこっと笑って茉奈を正面から見る。
「大丈夫よ、道なら完璧に覚えているよ。それとも私が忘れたとでも思った?」
まだ涙で濡れている顔をにっと笑わせて
「一瞬思った」
とだけ答えた。
「ひどっ」
ははっと笑うと私はすっと立った。
少しだけ空が明るくなってきた。
携帯をポケットから引っ張りだして開いた
「4:36...行こう、茉奈。きっと彼奴等もマフィアなのなら目はいいはずだし。明るくなっちゃったら見つかりやすくなっちゃう。」
茉奈が手を出してきたから茉奈の手をとって引っ張ってやる。ちょっとスカートについた泥を落とすとぐっと腰を落として飛ぶ姿勢に入った。
「玲奈姉が前に行って。私道わかんないから。」
ちょっと照れ臭そうに笑ってどうぞと言うように手を前に出す。
目線と目線を絡み合わせる。いつものサバイバル訓練の時のスタートの合図だ。
「了-解☆」
にっと笑って答えてやる。
目を離したときが、スタートだ。
心の中でカウントダウンをする
3...
2...
こくりと頷いてみせる
すると茉奈が付け足しをする
「最大出力で、ね?」
1...
パパに人前で見せることを禁止されている熱くない炎が足元に現れる。
すっ。
目を離した
最初のコメントを投稿しよう!