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銃を腰と右大腿部につけているホルダーにしまい、予備の弾丸や必要なものを斜め右の前につけたウエストポーチに入れる。
愛用している大きいサイズのファーつきロングコートを着て靴をはき、家を出て鍵を閉めた。
エレベーターは運よくこの階――――61階に止まっていた。
このマンションは本社に勤めている者が住める、言わば寮のようなものだ。最上階は72階まである、大きな高層マンション。
1階につき、駐車場へと向かう。自分のバイクを見つけ、エンジンをかけようとしたとき。
「ルイ!」
誰かに名前を呼ばれた。
振り向くと、いつも郵便や新聞配達のアルバイトをしている女の子、マーサだった。
「今日も前髪が素敵よ。珍しく早いのね」
「ありがとう。‥‥マーサ、いつもこんなに朝早いのか?」
「ええ。もう早起きに慣れちゃったけど、前まではすっごく苦手だったの」
そう言って笑う彼女のさらさらなブロンドの髪と、オレンジの瞳にそばかすがなんとも可愛らしい。
「急いでた?呼び止めちゃってごめんなさい」
「構わない、むしろ会えてよかった」
「私もよ!」
本当に嬉しそうに笑うな、と思いながらバイクにまたがる。
「じゃあね、ルイ。お仕事頑張って。体調崩さないように」
「マーサもな」
そう言ってふっと笑うと、マーサもにっこり笑った。
バイクのエンジンをかけ、駐車場を出て本社まで飛ばした。
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