聖なる性(さが)

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味気なくて、つまらぬ暇潰しの時間。 だけど溜まってしまった性欲を、吐き出す為には、必要な排泄処理の時間。抗えない本能。神聖なる不潔の時間。 フードルのお姉さんは、こちらを完全にナメてる。 手を使ったサービス行為を受ける。あっという間に時間は過ぎる。時間終了を告げるアラームが鳴れば、変わり身早いお姉さんは、笑顔で『また来てくださいね~』と部屋から客人を追い出す。 嘲りと蔑みの張りついた笑顔。 たったこれだけで、一時間二万。 ナメられたものだ。 その面に拳をお見舞いしてやりたいよ。 それならば女の顔を思う存分、殴りつけれる、SM倶楽部のお店にでも行けって話か。行かないけどね。私はS側の人間じゃないから。 女が怖いのは、昔から。 裏切られたトラウマが出来て以来、特定の女は作っていない。 モテないのも、昔から。 見た目が悪いのは、生まれつき。 最近は。 モテたいとも、すっかり思わなくなった。 モテたがる奴の、気が知れないとすら、思う。 女の怖さを知った奴で、 特定の女を作る男を知らないし、親友と呼べるほど、深い女友達を作る女も知らない。 女の体を捨てる罪悪感など、消え失せるほど、傷は深く。 そもそも初めから、罪悪感など、感じていたのかどうかすら。今ではわからなくなるほどに。 冷え切った、私の体。古傷を抱えた、胸の隙間に。 完成された悪魔の肉体は、入り込み。温もりと、鮮やかに彩られた爪で、傷を深く抉り、更なる傷みを与える、切っ先鋭いナイフ。 冷え切った私の体。 魔性の肉体。 飢えた何かを埋めるように。 貪る時間だけは、愛しい獣二匹の時間。 けたたましいアラーム音が鳴れば。 重ねた女の幻想は、たちまち崩れ去り、治癒の時間は終わりを告げる。 女は嫌いだ。 もう二度と、触れない髪の感触。 この傷が癒える日など、果たして来るのだろうか。 アラームが命の終わりを告げ、老朽化した肉体が、この世から消え去り、灰になる日が、来ても。 傷が消滅する日など、永遠に来ない気がする。 魂についてしまったから。根源的に深い傷。 もしも彼女の首に、この手をかけるチャンスがあったとして、 既に冷え切ってしまった、私の体の芯の部分。 再び火が灯り、魂に原動力が宿り、命の歯車が、再び動き出す日など来るのだろうか。 あの日から失った、 生きてるのだという実感は、得られる日が来るのだろうか。 忘却を求め、抱えた苦痛を治癒する為に、今日も幻想の君を抱く。
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