3人が本棚に入れています
本棚に追加
味気なくて、つまらぬ暇潰しの時間。
だけど溜まってしまった性欲を、吐き出す為には、必要な排泄処理の時間。抗えない本能。神聖なる不潔の時間。
フードルのお姉さんは、こちらを完全にナメてる。
手を使ったサービス行為を受ける。あっという間に時間は過ぎる。時間終了を告げるアラームが鳴れば、変わり身早いお姉さんは、笑顔で『また来てくださいね~』と部屋から客人を追い出す。
嘲りと蔑みの張りついた笑顔。
たったこれだけで、一時間二万。
ナメられたものだ。
その面に拳をお見舞いしてやりたいよ。
それならば女の顔を思う存分、殴りつけれる、SM倶楽部のお店にでも行けって話か。行かないけどね。私はS側の人間じゃないから。
女が怖いのは、昔から。
裏切られたトラウマが出来て以来、特定の女は作っていない。
モテないのも、昔から。
見た目が悪いのは、生まれつき。
最近は。
モテたいとも、すっかり思わなくなった。
モテたがる奴の、気が知れないとすら、思う。
女の怖さを知った奴で、
特定の女を作る男を知らないし、親友と呼べるほど、深い女友達を作る女も知らない。
女の体を捨てる罪悪感など、消え失せるほど、傷は深く。
そもそも初めから、罪悪感など、感じていたのかどうかすら。今ではわからなくなるほどに。
冷え切った、私の体。古傷を抱えた、胸の隙間に。
完成された悪魔の肉体は、入り込み。温もりと、鮮やかに彩られた爪で、傷を深く抉り、更なる傷みを与える、切っ先鋭いナイフ。
冷え切った私の体。
魔性の肉体。
飢えた何かを埋めるように。
貪る時間だけは、愛しい獣二匹の時間。
けたたましいアラーム音が鳴れば。
重ねた女の幻想は、たちまち崩れ去り、治癒の時間は終わりを告げる。
女は嫌いだ。
もう二度と、触れない髪の感触。
この傷が癒える日など、果たして来るのだろうか。
アラームが命の終わりを告げ、老朽化した肉体が、この世から消え去り、灰になる日が、来ても。
傷が消滅する日など、永遠に来ない気がする。
魂についてしまったから。根源的に深い傷。
もしも彼女の首に、この手をかけるチャンスがあったとして、
既に冷え切ってしまった、私の体の芯の部分。
再び火が灯り、魂に原動力が宿り、命の歯車が、再び動き出す日など来るのだろうか。
あの日から失った、
生きてるのだという実感は、得られる日が来るのだろうか。
忘却を求め、抱えた苦痛を治癒する為に、今日も幻想の君を抱く。
最初のコメントを投稿しよう!