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卒業式も終わり、みんなは各クラスに戻った。
「いて…てて…」
その中に一人よろよろな葉一がいた。普通卒業式ではこうはならないだろう。
「全く…無茶ってか…馬鹿するな~」
ケラケラと柳矢は笑っている。結局、雷動にやられたのは葉一だけだった。
「バカだ~!」
「アホか!」
「卒業式抜け出すなよ」
クラスのみんなに囃し立てられる。
「卒業式ぐらいパーっと盛大にやんねーとな!」
笑って答える葉一。実に能天気。
「そんなんで高校大丈夫かよ?」
クラスメイトが尋ねてくる。
「はっきり言って不安だな」
「だろーな!」
わはははと笑い声が飛び交う。
「ま、柳矢がいるから大丈夫だろ!」
葉一と柳矢は春からいく学校が同じだ。
名門高校『双影桜(そうえいざくら)高校』
そのレベルの頭と実力がある柳矢が行けても不自然ではないが、まったくダメダメな葉一が行けるのはみんな不思議でならないらしい。
そのことについて葉一はいつもこう言う。
「逆推薦だ」
もちろんそれを聞いた人は皆、目を丸くする。
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