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などと言えるわけない。
「さいなら~」
葉一は指輪をしぶしぶ受け取り、帰っていった。
いらない、と言った結果巨人パーンチ(葉一命名)をくらってしまった。
葉一はポケットにその指輪を入れ、帰路についた。
「ったく…」
葉一の背中を見ている雷動。不安の色は消えない。
「ふふ、何が拾ったですか」
背後から声がする。振り替えるとそこには髪を腰まで伸ばしたきれいな女性が立っていた。
「泉校長…。いや自分はあいつが心配で…」
この中学、桜田中学の校長、泉 恭子だった。
泉は首を縦に振りながら言う。
「わかります…。あの子には他の子達と違う何かがあるのはわかっています。
あなたの行動はおかしくありませんよ」
「やはり校長も気づいていたんですね。
あの指輪があれば一応、安全ですけど、もしあいつが指輪をはめなかったら…」
「それはあの子に任せるしかありませんね」
泉は目を閉じ、ふぅと息を吹くと校内に戻っていった。
「『想いの指輪』…。
ちゃんと椿を守ってやってくれよ」
雷動はひたすら願った。
葉一の背中はすでに遠くにあり、その背中は小さくなっていた。
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