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「火の属性魔法を使える兵士は前に出ろ!!!」
魔人軍2代目大将エクシルは前線の真っ只中に居た。
ルクシルは声を張り上げ、兵士達に命令を出す。ルクシルの命令に手際よく応える兵士。
前方からは人間軍の大軍が攻めてきている。戦況は完全に人間側に傾いている。それを故の力押し。
ここを通せば魔人軍は一気に殲滅され、魔人は滅亡するであろう。
「ここは通さん!火を放て!!!」
ルクシルの命令と同時に大勢の魔人達が火の魔法を人間軍に向けて放つ。
ブワァァァァァァァ…
大量の火はまとまり、炎の波となり地面を凄まじいスピードで進んでいく。
ルクシルは大きく前方に跳躍し、放たれた火の上空に舞い上がる。
そして空中で両手を火にかざし、魔法を使う。
「相極魔法(そうきょくまほう)」
ルクシルがそう呟いた瞬間、人間軍へと向かっていた炎の波がぴたりと動きを止めた。
「凝縮」
ルクシルの声に合わせて再び動きを開始する炎。だが人間軍に向かう動きではない。
跳び上がっているルクシルの下方の一点に凝縮しようとする動きだ。
横幅1kmはあろうかという炎の波はみるみるうちに地面から1m上方の一点に集まっていき、1つの小さな球体を作り出す。
ルクシルはすぐさま球体の側に降り立ち、右手をかざす。
人間軍は不審に思っていることだろう。が、その進攻が止まることはなく、尚魔人軍に向かって攻めてきている。
「ったく、少しは待てよな」
球体にかざした右手の手のひらを空に向けて挙げる。すると球体は右手の一部かのように同時に動き、手のひらの上に移動する。
「変換!」
再びルクシルが言葉を発すると球体がぐにゃぐにゃと変化し始める。
変化する球体は巨大な炎の槍へと姿を変えた。
「ジャベリン・炎槍!!」
ルクシルは巨大な炎の槍を向かってくる人間軍へと飛行させ、人間軍の大軍の中央辺りに槍を落下させた。
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