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内部は悲惨な状況だった。
至る所に血痕が残り、未だ硝煙の臭いが漂っていた。
「すごいな…。」
陸上部隊が制圧の為に乗り込んだことも有るのだろうが、しかし、傷跡は明らかに我々が残した物だ。
「…実際、出撃するまで人型兵器など飾りみたいな物だと思っていた。いや、富士の一件は知らないでもない。だが…」
もともと機動歩兵は個人が売り込んだ物だ。
ある日模擬戦闘の準備をしている時に一人の技術者が持ち込んできた。
「私を訓練に参加させてくれ。さもなくば私はここを動かない。」
最初は渋い顔をしていた幕僚だったが、訓練の遂行の為に許可した。
ペイント弾だった事も大きいがどこからか圧力がかかったのかもしれない。
18両の戦車対たった一機の試作機。
だれもが直ぐに終わると確信していた。
実際直ぐに終わる。
彼はペイント砲弾をかわしながら全ての戦車にペイント弾を当てた。
世界でも高性能な戦車が負けたのだ。
「我々を保護してくれ。」
聞けば大企業の下請けを行う中小企業の集合体が技術力を示す為に開発したが、それが怪しい組織に狙われたそうなのだ。
「技術者と設計図、試作機だけで逃げてきた。翌日には工場は放火された。金型は壊したし機械は操作不能にしたから情報は漏れていないと思う。助けてくれ。」
圧力の元は自動車メーカーだったようだ。
事実その後の調査で不審な集団を検挙。
直後、全て自害した。万古製の拳銃によって。
「今までゲームか何かの延長でしか考えていなかった。…コレは確かに兵器だ。」
ロケットランチャーによって吹き飛ばされた司令塔を見上げる。
「人を殺す為の兵器だ。」
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