四月二日

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 目的地の昇降口に着くまでに「バスケ部に入りませんか」だとか「陸上部に興味ないですか」とかありきたりの勧誘を受けた。でも部活に入る気がさらさらない僕は逃げるようにここまできた。  昇降口にはでかでかと一枚の紙が貼り出されていて、それを左から見ていくと五番目の枠に、つまり一年五組の欄に前田栄二と自分の名前が書かれているのを発見する。高校生になったことを少しだけ実感できた気がする。 「えーいじっ」  物思いにふけてる僕の背中から明るい声が聞こえた。  振り向くと、そこにはセーラー服を着た竹田絵美の姿。 「そう言えば絵美も同じ高校だっけな」 「うん、これで小中高と十二年も一緒だね。」  絵美はニコニコしながらそう言った。  絵美とは小さい頃はよく遊んでいて、いわゆる幼なじみというやつだ。 「ところで、栄二は何組になった?」 「五組」 「え、本当に? 私も五組だから一緒だね」  えへへ、と言いながら笑う絵美は中学生の頃とあまり変わってなくて、少し安心する。 「そう言えば、栄二は部活決めた? もしかしてまた帰宅部?」 「うん、僕は部活に入る気ないから」 「えー、高校になったんだし、部活入ろうよ。入った方が絶対楽しいし」  絵美は残念そうにそう言ったが、少し考えたあとおもむろに口を開いた。
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