第二十九話

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わずかな間をおいて 「失礼します」と返答があったと同時に 静かに襖が開かれる 見えたのは まだ幼さの残る少年 「今日は、茶をこぼさなかったのか」 ふっと眉間に寄せていた皺を緩めたかと思うと ほんの一瞬 ほんの一瞬だけ彼に向かって微笑んだ 「そ、そんな俺が毎日 茶をこぼしてるみたいな言い方しないでくださいよっっ!!」 むぅっと頬を膨らませながら 彼 市村鉄之助は 土方にお茶を渡した 「事実を言ったまでだ」 「だーかーらー!!」 「んで、その度に悠輝に迷惑をかける」 「うぅ……」 そんな土方の言葉で 止めを刺された鉄之助は 「ひどいです」と一言呟いてその場にうなだれた
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