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隣にいた総司が咳き込むのを見て
すぐに悠輝は傍にあった布で彼の口元を押さえ
ゆっくりと、背中をさすった。
「ゲホゴホッ…悠…ゲホゴホッゲホ…ッ」
「大丈夫。大丈夫です
傍に、います。私がずっと」
白かった布が段々と朱に染まっていく
その光景に悠輝は唇をかみ締めた
咳き込む中
必死に悠輝を呼ぶ彼に何度も何度も
大丈夫、傍にいるといって聞かせた
「…」
ようやく咳が治まり、そっと彼を布団に寝かす。
「白湯を持ってきますね」
彼の口元を押さえていた布を手に立ち上がる悠輝を
総司は
「待って、いらないから…傍にいて」
と着物のすそを掴んで呼び止めた。
そんな彼の言葉に
悠輝は反論しようとしたが
彼の顔を見て仕方なくその言葉に従った。
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