第三十一話

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隣にいた総司が咳き込むのを見て すぐに悠輝は傍にあった布で彼の口元を押さえ ゆっくりと、背中をさすった。 「ゲホゴホッ…悠…ゲホゴホッゲホ…ッ」 「大丈夫。大丈夫です 傍に、います。私がずっと」 白かった布が段々と朱に染まっていく その光景に悠輝は唇をかみ締めた 咳き込む中 必死に悠輝を呼ぶ彼に何度も何度も 大丈夫、傍にいるといって聞かせた 「…」 ようやく咳が治まり、そっと彼を布団に寝かす。 「白湯を持ってきますね」 彼の口元を押さえていた布を手に立ち上がる悠輝を 総司は 「待って、いらないから…傍にいて」 と着物のすそを掴んで呼び止めた。 そんな彼の言葉に 悠輝は反論しようとしたが 彼の顔を見て仕方なくその言葉に従った。
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