第三十ニ話

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「油小路の事件の後 僕は何回か悠姫に会いに行ったんだけど でも、会えなかった いつもね、沖田がそれを阻止してたんだ」 「え?」 「それで…いつだったかな そうそう、御陵衛士の残党が新撰組の局長を撃ったとき なにを勘違いしたのか知らないけど、沖田は僕のもとにやってきた」 戦うため? 近藤さんの仇をとる為? 「違うよ」 顔に出ていたのか 心の中でしていた問いの答えを烈は首を横に振って否定した 「沖田はね、僕に一通の手紙を預けにきたんだ 自分はもう長く生きられない だから、もし自分が死んで、悠姫を独りにしてしまったら 迎えに来てほしい。って言ってね」 そう言って烈は懐から 一通の手紙を差し出した それを受け取り ゆっくりと開ける そこには 懐かしい彼の字でこう綴られていた
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