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とりあえず、ここは手当たり次第に動くしか無さそうだな…。今は戦の最中、敵に不意打ちを食らうかもしれない。
全方向に気を配りながら、必死で目を凝らす。
その時、前方にぼんやりと黄色い長い三日月が見えた。あれは…政宗様の兜だ…!
ホッと胸を撫で下ろして、三日月の影に歩み寄った。
「政宗様、無闇に動くなと申し上げたではないですか!」
少し強めの口調で話し掛けると、だんだん鮮明になった影がこちらに殺気を放ち、何かを俺の胸に向けた。
「曲者!」
視線を下にずらすと、両手に持つそれは銃だった。
(濃姫…!?いや…)
「誰だ…?」
「我こそは、独眼竜伊達政宗なり!貴様、何奴だ!」
目の前に立つ男は、三日月の前立て、右目の眼帯、確かに政宗様を彷彿させる出で立ちをしていた。
だが違う。明らかに。政宗様より、幾許か幼い印象を受けた。
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