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「はぁあ!」
先に動いたのは向こうだった。剣で切り込みながら、銃弾を放って来る。
(チッ…剣と銃とは、まるで魔王だな…。だが…振りが大きい分、隙がでかい!)
奴も死角であろう右側から踏み込み、剣と銃を吹き飛ばした。
「あ…!」
喉元に刃先を当てる。
「…殺らないのか」
「元々、ガキを殺るのは趣味じゃねぇ」
「ガキではない!」
「俺から見ればガキだ」
彼の剣と銃を拾い、返してやる。
「…そなた、顔は悪いが優しいのだな」
「大きなお世話だ」
「それに、独眼竜との戦い方を心得ていると見た」
「毎日、政宗様に稽古をせがまれているんでね」
「ふむ…どうやらそなたは、本当に片倉小十郎らしいな」
「てめぇもな。信じがたいが…確かに伊達政宗だ」
「じゃあ、気付いたらここにいたんだな?」
「そうだ。戦の途中、霧の中を進んでいたらな」
「…俺達と同じか」
「よく判らないが、その霧で、わしとこちらの政宗が入れ替わったのだな」
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