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ふわふわ、ふわふわ。
蜂蜜色の柔らかい毛並みが風に揺れている。
大きなその体に、くりくりとした愛らしいまんまるの瞳。名前を呼べば大きく左右に揺れるふさふさの尻尾。
『テツっ』
たまらずその柔らかな体に抱き付き、蜂蜜色の毛並みに顔を埋めた。
お日さまの臭いにホッとする。
瞬間、
『…テツ…?テツっ!!』
アタシを包むその大きな体はいつの間に無くなっていて、代わりに飲み込まれそうな程の暗闇だけがアタシを囲んでいた。
「…み、…舞海っ」
名前を呼ばれながら体を揺さ振られ、真っ暗だった世界に光が差した。
「…ん…あ…梨花…?」
まだぼんやりとする頭を上げ目を開ければ、目の前でアタシを見下ろす友人の姿があった。
「もう授業終わったんだけど、いつまで寝てんの?」
呆れ顔でそう言う梨花の言葉にようやく自分が机で寝ていたままだということに気付いた。
6限目の途中から居眠りしていたのに、起きた今はもう放課後のようだった。
長いこと机に突っ伏していた体を起こせば、そこらじゅうが痛む。
大きく伸びをして、まだ眠たい目で机の前に立つ梨花を見上げた。
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