22人が本棚に入れています
本棚に追加
俺の器官を流れ落ちていく、異物。実に不愉快極まりない。
喉に流し込んで暫くして“それ”は来た。過去、何度か経験のある嘔吐感。続いて、眼の中と眼の後ろの痛みだし、視界がぼんやりとする。
そして、他人から見ても異変と気付く、流涙、鼻水、唾液、異状発汗が俺の穴と言う穴から流れ出る。
会場の至る所から上がる悲鳴。
会場内がパニックになったことを確認した俺は、“安心”してふらつき、その場へ倒れこんでけいれんを始める。
ああ、皮肉なもので痛みは無い。ただただ不快なだけだ。
おそらくだが、作者の経験されてない感情は反映されないのだろう。
俺は、ぼんやりとした視界の中で、パニックとなった会場を見て、退場の時を待つ。
泣きながら、俺を揺さ振っている妻役の美人。その横で、あの可愛らしい顔を、ぐしゃぐしゃに歪めて泣いている美佳。ごめんよ、これも仕事なんだ。万が一、次に会えたときは謝るから。
最初のコメントを投稿しよう!