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遠くからは、パニックになった人を掻き分けて、公彦が駆けつけてくるのが見える。後は、いいように話を進めてくれ。
残念だが、そろそろ退場のようだ。
俺は、白い大きな壁に押しつぶされていくような感覚が、体に圧し掛かってくることで終わり悟る。
最後に、もう一度妻役と美佳の姿が目に入る。
美人を見ながらの最後も悪くない。
大粒の涙を流す妻役の美人と、涙を流しながら面倒くさそうに舌打ちをする美佳を見ながら、俺の意識は底に沈んでいく。
なんだ――自分の存在を理解しているじゃないか、娘よ。
そうして、俺の仕事が一つ終わりを迎えた。
一番身近な隣人で良き友人に包まれながら。
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