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自分という存在を認識すると、見知らぬテーブルに着いていた。
見知らぬ部屋に一人静かに、誰がいるわけでもなく座っている。
ああ、なるほど……また死ぬのか。
私は死体役A。決まった名前はない。
今では中堅どころと呼ばれる作者なのだが、主人公などの中核メンバー以外、作者にとって執筆時のイメージはどうでもいいらしく、どんな作品であろうが、一番最初に死ぬ人間のイメージは、必ず私が起用される。それが男性であろうと、女性であろうとも。
だから私は、何度となく生き返り、そして、何度となく殺される。
一度くらい、地方の名刑事に自首を勧められて、生きたまま物語の終わりを迎えたいものだ。
先ほども言ったが、俺が存在しているということは、また死体が必要だということだ。
今回も、きっちり俺が存在する理由を果たすとしよう。
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