本日は撲殺なり

2/3
前へ
/20ページ
次へ
 自分という存在を認識すると、見知らぬテーブルに着いていた。  見知らぬ部屋に一人静かに、誰がいるわけでもなく座っている。  ああ、なるほど……また死ぬのか。  私は死体役A。決まった名前はない。  今では中堅どころと呼ばれる作者なのだが、主人公などの中核メンバー以外、作者にとって執筆時のイメージはどうでもいいらしく、どんな作品であろうが、一番最初に死ぬ人間のイメージは、必ず私が起用される。それが男性であろうと、女性であろうとも。  だから私は、何度となく生き返り、そして、何度となく殺される。  一度くらい、地方の名刑事に自首を勧められて、生きたまま物語の終わりを迎えたいものだ。  先ほども言ったが、俺が存在しているということは、また死体が必要だということだ。  今回も、きっちり俺が存在する理由を果たすとしよう。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加