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エンドロールが流れている。
こんなの見てなんに何だよ。
英語で良くわかんないし。
早く外に出たい。
お尻痛いしさ。
でも、出ようって言えないんだよね。
初めて一緒に見た時、「出よう」って言ったら、ものスゲェ目つきで見られたし。
それ以来、映画中は話しかけても無い。
他の時とは別人見たい。
ったく、草食系映画オタクが。
エンドロールが終わり、館内が明るくなる。
「おもしろかった?」
「あんな終わり方するとは思わなかったよぉ。」
外は雨が降ってって、風が冷たかった。
「寒いねぇ、しかも雨降ってるよぉ。」
「本当、四月になるって言うのにね。傘なら折りたたみ有るよ。」
岸本が鞄から小さな折りたたみ傘をさす。
「一緒に入ろっ。」
明らかに二人は入れない傘に二人で入る。
「あっ、う、うん。」
照れてる、照れてる。
「岸本くん、肩入って無いよ。」
「まぁ、しょうがないよ。それより惠さん濡れてない?」
「大丈夫っ。」
受付の娘と目があった。
「来週はフェイス・オフやるって。」
「あっ、それは見た事あるかも!」
「あれも、面白いよね。あっ、ご飯はどうする?」
「う~ん、岸本くんが決めてよ。」
雨の中を小さな傘で歩きだした。
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