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それでも説得を続ける。
「奴は日が沈めば、今以上に活発になる。危険なんだ。」
空は燃えるような赤に染められている。
夕方だ。
完全に太陽が隠れれば、夜が地上を支配する時間となる。
そうなれば鬼はこの森を闊歩するだろう。
遠藤は渋面を作り、黙り込む。
彼は鬼の存在を信じていない。
作り話の中での空想上の生き物でしかない。
彼はそう思っているのだ。
しかし、自分の眼で鬼を確認した。
鬼は彼がいる世界にも存在しているということなのだ。
鬼がいるのを信じない自分と、鬼の存在を認めてしまっている自分もいる。
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