第二話【森に潜む鬼】

47/69
前へ
/244ページ
次へ
そんな矛盾が遠藤を支配している。 「鬼なんて、いるはずがねぇんだ!俺は認めんぞ」 遠藤は自分に言い聞かせるように叫んだ。 「お前は現に見ただろ。目に見たものは真実なんだ。認めろ」 光鬼は冷たく言い放った。 真とは違い、あくまで冷静に。 客観的に判断し事実を語る。 普段の光鬼とは思えないそんな感じがする、と真は思った。 しばらく遠藤は俯いていたが、顔を上げ真達を見つめる。 その瞳からは覚悟が伝わる。 「分かった。鬼がいることは認める」 真はそっと胸をなで下ろした。 自分の気持ちが伝わったのだ。
/244ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加