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山口も頷きで返した。
それは、肯定の頷きである。
「とりあえず移動しよう」
真がそう言い、一行は歩を進めた。
宛てのない道を。
それは無謀に見える。
人を喰らう者、鬼に遭遇する率が高くなってしまうからだ。
それでも歩かずにはいられない。
まるで、それは何かに縋るように。
何分歩いたか、一行の眼下に集落が見えた。
しかし、灯りはどこもついておらず人影さえもない。
さらにほとんどの家には亀裂が走っているもの、一部が崩れているものなどがあった。
しまいには、焼けていて家ですらないものまである。
まさに廃村。
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