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お兄さんは女の子の素早い変わり身に苦笑しつつ、女の子が出ていった扉が閉まる直前に、いってらっしゃい、気をつけてなと言っていた。
そのまま皿を僕の隣に置いてくれた。そこにはあったかそうな白い液体(ミルクっていう名前はあとから聞いたんだよ)がゆらゆらしていた。そこでお腹が空いていた事に気付き、一心不乱に飲み始めた。
皿を綺麗に舐め終わり、満足してちょっと鳴いた。
改めて部屋を見渡してみると、窓の付いていない両側の壁には本棚がそびえていた。読書家なんだな。
でも生活感がないのは気のせいだろうか。仕事場なのかな?こんな所に僕を入れてもいいのかな。
お兄さんは僕の胸中など知るはずもなく、いつの間にか向かいのソファーに座って何十枚もありそうな紙を読んでいた。
僕はちょっと高いソファーから飛び降り、お兄さんのところまでヨタヨタ歩いていき、短く鳴いてみた。
するとお兄さんは僕を持ち上げて組んでいた足の上にのせ、左手で頭を撫でてくれた。
それが気持ち良くて、再び夢の国に旅立ってしまった。
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