ぷろろーぐ

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「かさいさんとこのはどうなった?」 かさい、カサイ、火災? 「もう証拠は撮れた。真っ黒だったよ」 なんの話だろう。いきなりの展開に頭がついていかないよ?そんな僕の上で、優しいお兄さんの声と聞いたことのないちょっと強そうな声が行き来している。 「ところでその膝にいるのはなんだ」 おっと。いきなりお呼びがかかったようだ。まだ覚めきっていない眼をあけ、存在を主張するためにひと鳴きした。 「僕の新しい家族だ」 嬉しいことを言ってくれるねお兄さん。泣いちゃうよ?鳴いちゃうよ? 「それなら俺の家族でもあるな。ちょいと貸してみろや」 そう言って僕を持ち上げる、初対面のおじさん。なかなかに手がごつごつしてるよ。その手で僕を撫でながら、こいつの名前は?と聞いた。 お兄さんを見ると、よくぞ聞いてくれたという風に体をのりだして答えた。 「昨日は雨だったから。アメだ」 雨より嵐だったような気もするけど。 「単純だな。だがシンプルこそ真理だ」 そうかもしれない。これが僕がアメになった理由だ。
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