ぷろろーぐ

7/11
前へ
/46ページ
次へ
おじさんは僕みたいな人を扱うのがうまいらしい。お兄さんと話をしながらも喉をゴロゴロやられ、肉球をいじられ、なかなかにリラックスしてしまった。 いや人じゃないけどさ。 そうこうしてると、またお腹がすいてきた。食い意地はってるって?しょうがないじゃない。育ち盛りなんだもの。 ちょっと主張をして鳴いてみる。その声を聞いた二人はふと目線を僕にむけ、壁に掛かっていた時計を見る。僕もつられて時計を見る。短い針が12、長い針が5を差している。 「もうこんな時間か。飯にしよう」 頭の上から嬉しい申し出が聞こえてきた。同意を示そうとちょっと長めに鳴くことにする。頭を撫でられた。 それを合図にしたように、チャイムがきこえ白い扉が開いた。 そこには朝に会った女の子がいた。 「ただいま」 やっぱり挨拶は大切だよね。 大の男二人が声を揃えて決まり文句。 「おかえり」 でもちょっと早いんじゃない?まだお昼だよ?とお兄さん。 今日は終業式だからお昼までだったの。明日から夏休みよ、と女の子。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加