序説―オフ会やるYO―

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暴力的にこじ開けられた扉の向こうに居たのは、これまたメイド姿の少女であった。 ただスカート丈はかなり短く、その代わりに黒のスパッツを覗かせている。 ムニンと同じく闇色の翼が背中から生えており、青みのかかった黒の髪は短く切り揃えられている。 背格好こそ可愛らしい子供なのだが、その内に秘められた力は計り知れない。 「美少女フギンちゃん只今参上ー!お呼びですかお姉ちゃん?」 謎の決めポーズをバチっと決める妹。 頭を抑え、ため息をつく姉。 「フギン、もう少し静かにいらっしゃい。それに、訳のわからない節操のない振る舞いは慎みなさいと何度言ったら・・・」 開口一番妹に説教を垂れ始めるムニン。 負けじと頬を横につねりながら舌をだし、べーっと言わんばかりの不満顏で、 「あー、もー、姉ちゃんはどーしていつもそーなのさ!用事があるんだと思って急いできてみれば、怒られるし・・・」 姉に対抗し始める妹。 先程まで静寂に包まれていた部屋は、たった数分で罵詈雑言の飛び交うザ・鴉姉妹ワールドと化した。 双方とも、鴉というだけあり言い出したら止まらない、うるさいというところが姉妹として唯一似ているところだろう。 いつまで経っても言い争いに終わりはないと感じ、拉致が開かないとばかりに肩をすくめると息を吸い、 「その醜い争い事はやめんか」 と、その姿からは想像できない低く、貫禄に満ちた声を部屋中に響き渡らせた。 ビクッと肩をすくませ、恐る恐る主を見る姉妹。そこにはいつもとなんら代わりのない気だるそうな若い(?)男が耳をほじって座っていた。
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