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「ミイ…苦しいのか?」
先程から娘の呼吸が荒い。
男が心配そうに尋ねた
「父上…ハァハァ…大事ありません…ハァハァ…いつものでございます」
そう言った時、ミイの首に蛇の文字が浮かび上がった。
「この江戸も妖魔達の巣となったか…じきに依頼人も来るであろう。ミィ、いつも通り元締めを探し出してくれ」
「はい…父上」
そう言うとミイは倒れてしまった。
幼いミイにとって疲労が限界を越えていたようだ。
「おぃおぃ!どうしたんだい!」
様子を見にきた大家が飛び込んできた。
ミイの額に手をやる。
「ひどい熱だ…お前さん!ボーっとしてないで娘さんを抱き上げておくれ」
まくしたてられ、男が慌ててミイを抱き上げると大家は素早く布団を敷いた。
「早く娘さんを寝かせなさい」
慣れない手つきでミイを寝かせる男を大家は呆れ顔で見ていた。
「お前さんは父親だろう?娘の体への労りもろくにできないのかい!一体、今までどうやって生きてきたんだか。全く不憫な子だよ……」
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