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「父…上……」
消え入るようなミイの声に男は目を開けた。いつの間にか眠っていたようだ。
「どうした?ミイ、苦しいのか?」
「父上…腑甲斐ない娘を…お許しください…」
わずか3つの童のセリフである。
「ミイ、何を申すか。無理をさせ過ぎた父が悪いのだ。これからは辛くなったら、すぐ申すのだぞ」
「はい……。……父上」
「どうした?」
「客人です」
家の戸を開けると、一人の男が立っていた。
「枷屋さんのお宅は、こちらでございましょうか」
「お客人か…さぁ入られよ」
男は客を招き入れた。
客が家の中へ入るのと同時に二つの影が去っていったのを、床に伏していたミイだけが知っていた。
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