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×果てない旅の 他愛ない
次の日は、昼から嵐だった。
船縁に篭った水音を発てながら、打ち当たる波が船を揺らす。
ダークグレーに染め上げられた空の所々に薄いグレイを残しつつ、分厚い雲が河を連想させる様な速さで流れていく。
バサバサと水面と平行に凪ぎだした洗濯物をサンジと、手伝ったチョッパー、ウソップが全て取り込み屋内に放り込んだ頃には、向きの定まらない風によって、マストがバタバタと豪快な音を奏でられていた。
繋がれたロープは今にもブツリと逝ってしまいそうな位、軋んでギチギチ謂っている。
勿論、強度に関しては問題無いので千切れたりはしないのだが。
うちの船の航海士曰く、そう大した嵐にはならないらしいが、取り敢えず進路上に有った小さな無人島に接岸してやり過ごすらしい。
先より少しばかり高くなった波がたまに船を揺らしながら濡らしている。
まだ雨は降ってはいない。
ゴウゴウと騒ぐ風と暗い雲が
少しだけ、濁り沈んだ自分の心と似ている気がした。
この胸の濁りが一体何か、今はまだわからなかった。
暗いのは性に合わないから、この空模様も、心の内も、早く晴れればいい。
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