♦:prologue

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俺の名前は姫宮湊(ヒメミヤミナト)。 まあ詳しい自己紹介は追々話すとして、とりあえず俺の昔話に付き合ってもらおうかな。 ―10年前― 「パパー、ママ―!!」 俺はこの日両親の葬式で涙が枯れても泣き続けていた。 死因は交通事故による出血多量。 事故の原因は相手の飲酒運転で加害者も死亡してしまった。 加害者もしくは加害者に家族がいれば不安や悲しみ、怒りを押し付けることができたのだが加害者は死んでしまったし、生憎加害者は未婚者で家族はみなすでに死んでいた。 あの事故は5歳の俺にはあまりに衝撃的であれほどの絶望を体験したことは無い。 というよりこれから先も体験することは無いだろう。 「ねぇもう泣きやんで…。そんなに泣いたら私も涙がでちゃうよ…。湊君が悲しいときは私も悲しいんだから…。」 「ごめんね…。海梨ちゃんを悲しませるつもりは無かったんだ…。でも僕にはもう家族がいないんだ…。だからどうしようもなく悲しくて涙がでちゃうんだ…。」 このときはもう他のことを考える余裕なんて無くて両親が死んだ悲しみだけで頭も心もいっぱいだったんだ。 5歳ながら俺も死のうかななんて考えもした。 バカみたいと思う人もいるかもしれないがあの頃の俺には両親の死はそれほど過酷だったんだ。
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