106人が本棚に入れています
本棚に追加
/98ページ
「大丈夫だよ。湊君は1人じゃない。私やパパやママにお姉ちゃんは湊君の家族だもん。それに大きくなったら私が湊君のお嫁さんになってあげる。だからもう悲しい顔しないで…。」
俺はこう言ってくれて凄く嬉しかった。
俺を家族として見てくれた海梨。
そんな海梨の瞳は海のように透き通っていて嘘偽りは無いと物語っていた。
俺はこのとき海梨に対する想いが変わったんだ。
今まではいつも一緒に遊んでいた従姉妹。
だけどこのときからは海梨は俺の1番大切な人になって海梨に恋するようになった。
「ありがとう、海梨ちゃん。僕は1人じゃないんだね。僕には家族がいるんだ。それに海梨ちゃんがお嫁さんになってくれたら僕は嬉しい…。」
両親の葬式の日に俺と海梨は婚約をした。
さっきまで大泣きしてたのに、たった一言で笑顔でいっぱいになるんだから幼児の心なんて本当に単純だと思う。
だけど単純な5歳のガキの口約束が婚約なんて大げさかもしんないけど俺はそう呼びたい。
だって10年たった今でもまだ海梨に恋しているから。
「やっぱり湊君は笑顔の方がいい。見ててね、私素敵なお嫁さんになるから待っててね。後から私じゃ嫌だなんて言わないでよ??」
「言わないよ。僕は絶対海梨ちゃんしかお嫁さんにしないもん。」
葬式で笑顔になるのは不適切なことだと思うけどあのとき笑ってなかったら今の俺はいないと思う。
海梨のあの言葉が無かったら俺はまだ両親のことを引きずってるかもしれない。
だから海梨には凄く感謝してるんだ。
最初のコメントを投稿しよう!