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三時間ほど前の遺跡調査部部室
絢香「どうよ。この私の調査書は!!」
絢香は何枚ものレポート用紙を少年が座っている机に叩きつける。
「駄目だな」
レポート用紙を少し見ると直ぐにレポート用紙から目を放して絢香を見る。
絢香「なっ!?」
「調査の内容が薄い。それに脱字が多い」
彼は朝霧 紫苑(あさぎり しおん)、遺跡調査部の部長で、絢香と幼なじみで、17歳の同い年。
絢香「けど、ここのレポートはまだ調べてないところでしょ!」
紫苑「それは一年ほど前に桜花が調べた。あんたよりもずっと詳しくな」
絢香「くっ……」
悔しそうに唇を噛み締める。
紫苑「絢香、あんたは無理して一人で遺跡の調査に行く必要はない。俺達と一緒に来て手伝ってくれればいい」
絢香「…………」
無言でドアを勢いよく開けて部室から出て行った。
「言い過ぎだったんじゃねぇか?」
紫苑「居たのか。周護」
周護「おう」
彼は那先 周護(なさき しゅうご)、紫苑と絢香より一つ年上で遺跡調査部の部員だ。
周護「で、あれは言い過ぎだったんじゃないか?」
紫苑「そんなことない。遺跡には危険なところもある。理解してない奴が、無闇に入って大怪我をおう可能性だってある。だからあれくらい言うの当たり前だ」
周護「ふ~ん。つまり絢香のことが心配なんだ」
紫苑「この部の部長として当たり前だ」
そういうと椅子に座り、目をゆっくりと瞑る。
紫苑「少し眠る」
周護「あいよ」
寝息も立てずに静かに紫苑は眠る。
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