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「み、みみみ、見ちゃた!!」
よく覚えていないが、とにかく死に物狂いで家に帰り着き一目散に部屋に駆け込むと頭から布団をかぶった。
やっちゃった。やってしまった。
生涯見なくていいモノを見てしまった。
ガタブル震えていると、ふと左手が拳の形のまま強張っていることに気がついた。
そして、その中に何が入っているのかも。
「……ああああああ!!!」
やってしまったリターンズ。
掌におさまっていたのは、うっかり持って帰ってきてしまった翡翠のかたまり。
咄嗟に窓へとしがみついた私はもつれる指で開けるとおもいっきり腕を振りかぶった。
…が、寸でのところで手が止まる。
ここから投げてもせいぜい裏の畑に転がるくらい。どこかになくなるわけでもなく。
((それはおそらく私のものだ))
そう言われたのに、持ち逃げしてしまった。
手元に置くのも怖いが、捨てるのも怖すぎる。
(ど、ど、ど)
どうしよーーーー!!!!
頭を抱えた私は布団に倒れ込み悶絶した。
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