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「こっ…んの!」
指に力を入れて体重を後ろへとかける。指にかかる力に指の腹がヒリヒリしたが気にしない。
ぐりぐりと捩るようにして渾身の力をこめ、意地で引っこ抜こうと踏ん張る。
生来の負けず嫌いな性格が、何故かこんな所で発動してしまっていた。
「ふんっ……ぬ……どあぁ!?」
すっぽん!
妙に軽快な音を立てて。
それは突然すっぽ抜けた。
「あだぁ!!」
作用反作用とか。ニュートンとかアインシュタインとか。
とりあえず物理の力学っぽいなにがしかが脳裏をかすめたが。私は反動で見事に後ろへとひっくり返り地面に頭をぶつけていた。
「あだだだ……」
後頭部をさすりながらよろよろと体を起こす。
引っこ抜いた獲物は掌に軽くおさまってしまうくらいの小さな物だった。
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