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 振り返った先には誰もいなかった。  そのまま左右を見回しても、そんな声が聞こえるほど近くに人はいない。  だから聴こえるはずがない。 「………そ、そらみみ、空耳!!」  アハハハと、乾いた笑いを浮かべて無理矢理自分を納得させた。 「おい、こちらだ」 「!!!!」  すぐ後ろで声がした。  肩がおもしろいくらいに撥ねる。  よせばいいのに、私は、反射的に。  振り返った。  若い男が、立っていた。  逆さに ・
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